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Vol.12 - 1
2004/07/09発行

坂梨又郎  医学部長就任の御挨拶 

                薬理学 教授 坂梨 又郎
平成16年4月1日付けで琉球大学医学部長に就任した坂梨又郎です。 医学科同窓会の先生方には全員、学部学生時代にお目にかかっているはずですが、おそらくその大部分の方々が薬理学教室は怖い所との印象を持ったまま卒業されたのではないかと思います。本当は決してそんなことはないと教室員一同思っておりますが、不徳のいたすところかもしれません。さて、医学部長就任早々ぶちあたったのが独立行政法人化でした。それまでの国立大学から、非公務員で組織する国立大学法人へ衣替えしたという次第です。今のところ、見かけ上は従来と変わりないようにお感じかと思いますが、実状は法人の形での大学運営に切り替えるべく医学部は悪戦苦闘の毎日を過ごしています。例を挙げますと、大学で働く方々の安全確保と健康維持を謳った労働安全衛生法の尊守があります。安心して働いていただくにはどれほど多くの課題をクリアしなければならないのか、ほとんど認識していなかったというのが正直なところでした。有害物質等から働く方々を守るために、まずは労働環境中の有害物質濃度の測定が必要になります。次に有害物質排除装置であるドラフトチャンバーや排気装置の点検・修理に加え場合によっては新たな設備が必要となります。国立大学の時に当然実施されるべき以上のことが、法人化の声とともにドッと押し寄せて来た感があります。上記のことだけでも数千万円の費用がかかりますが捻出に苦慮しています。この法律には罰則規定もあり、なんとかしない限り、研究室等の使用禁止措置を採らざるを得なくなることを懸念しています。法人化後の医学部は、これまで以上に附属病院と協力態勢を整え、いわゆる生き残りに立ち向かわなければなりません。学部と病院が違うことを考えていては、とてもこの難局は乗り越えられないと瀧下修一新病院長と何かにつけ話し合っています。附属病院については瀧下病院長からご説明があるかと存じますが、スーパーローテーションをはじめ、年毎に約2億円の病院収入の逓増を目標にしなければならないことや前出の労働安全衛生法に関連して宿当直・超過勤務に対応する人員と費用の捻出に努めること等々、まさに問題山積です。同窓の先生方におかれましては、琉球大学医学部が置かれている状況にご理解いただき、これまで以上にご支援賜りますようお願い申し上げる次第です。