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Vol.12 - 2
2004/12/01発行

酒々井 真澄  沖縄から世界に発信する研究をめざして 
 
       病態解析医科学講座腫瘍病理学分野 助教授 酒々井 真澄

 腫瘍病理学のoffice、医局、研究室は基礎研究棟の4Fにあり、教授の吉見直己、助教授の酒々井真澄、助手の青名畑美幸と森岡孝満、技官2名、大学院生7名(臨床系6人とラオス留学生1人)のメンバーより構成されます。伊藤悦男教授の後任として2001年4月に吉見が赴任し、新たな態勢がスタートしました。医学教育に関してはスタッフにより医学部3年生の病理学講義、実習、ACS (autopsy case study)を担当しています。ACSは実際の剖検症例を学生に与え病態と死因を考察させる学習法であり琉大では新たな試みです。これまで3年間各学生は真剣に取り組み、症例発表後CD-ROMにて発表集を作成してきました。大学院生がteaching assistantとして実習やACSの指導を担当することもあります。診療に関しては琉大病院内の標本を病院病理部と細胞病理学教室と分担して診断しています。研究に関して各種天然物質のがん予防効果あるいは抗がん作用について動物実験による検証と分子レベルでのメカニズムの詳細な解析をしています。また、大腸前がん病変の発がん過程に及ぼす影響について分子病理学的解析をしています。さらに、新規合成化合物である非環式レチノイド(acyclic retinoid)のヒトがん細胞に対する分子生物学的作用メカニズムの解析と各種のがんに対する臨床応用を目的とした動物実験を行っています。病院病理部と共同で遠隔病理診断システムの開発を行っています。これらの研究費は文部科学省、厚生労働省、沖縄県産学官プロジェクト、琉球大学重点化経費、私立財団などより提供されています。当教室では実験結果に関するdiscussionを重視し教室員が研究を進めるためにより良い環境を整えることを常に考えています。毎週のjournal club(抄読会)と毎月のgroup seminar(研究発表会)では活発な議論が行われています。2001年に7編、2002年に12編、2003年に7編、2004年現在まで10編の国際英文誌への論文がpublishされました。今後も私達は活発な研究活動を続け、沖縄から世界に発信する研究をめざします。病理学全般と私達の研究に興味のある方は是非当教室に立ち寄ってください。その時から何か新しい挑戦が始まるかもしれません。