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Vol.13 - 2
2005/12/09発行

健山 正男  助教授就任して 
 
   分子病態感染症学分野(旧第一内科) 助教授 健山 正男(1期生)

 1期生の皆様、そして同窓生の皆様お元気でご活躍のことと思います。
私事ですがこの度、平成17年9月1日に大学院医学研究科感染病態制御学講座分子病態感染症学分野(旧第1内科)の助教授に就任しました(長い名前になりました)。この機会に同窓会より就任挨拶執筆のご指名を頂きましたので、近況報告を兼ねご挨拶致します。
 助教授就任が決まった時、個人的には正直申し上げて嬉しさも中くらいで、医局員が100名を超す全国でも有数の大所帯である教室であるため、どのようにその責任を果たすかで頭がいっぱいでした。しかし、学部長をはじめ看護師長や多くの教授、教官の先生方から祝辞と激励を頂き、改めて本学の卒業生であることを実感し、大変有り難く思っております。また第1内科に同期で入局した県内在住の仲間が全員揃って祝賀会を開いて下さいました。このように激励を頂いた先生方に、その御配慮に改めて深謝申し上げます。
 私は昭和56年に一期生として本学へ入学しました。昭和62年に旧第1内科に入局し、2年目に大学院へ進み、その後関連病院出向の後、平成7年に同助手に任官となり現在に至っております。現在はAIDS、レジオネラ肺炎、薬物動態学を主に研究しております。
 臨床では主としてAIDS患者の診療を担当していますが、HAARTが導入される前はニューモシスチス肺炎(PCPから現在はPJPへと名称変更)やカポジ肉腫など他の疾患で合併することの少ない日和見感染症の治療に明け暮れていました。HAART導入後は救命率も極端に高く、現在では慢性疾患の様相を呈するようになり、糖・脂質代謝異常を始めとした副作用管理が新たな課題となっており、代謝内分泌学を専門とする他の研究者と共同研究をしています。また結核の初期悪化のように、HAART導入後に増悪する免疫再構築症候群症例が増えるにつれてその病態と予防に大変興味をもっており研究テーマとして取り組んでいきたいと思っております。沖縄はHIV感染者が多く、また初診時「いきなりAIDS」といわれる症例も年々増加しています。耐性ウイルスの蔓延も危惧しており厚労省の研究班員として調査を行っています。病態および治療の研究のみならず感染者をできるだけ増やさないため、大学機関としては稀でしょうが行政と緊密に連携して対策事業を行い一定の成果を得ています。喜ばしいことに将来HIVを専門にしたいと希望する若手の医局員が増えており、沖縄からHIV診療の重要なメッセージを発信できるよう日々研鑽しております。
 他の研究テーマとしてレジオネラ肺炎の重症化機序の研究を行っております。レジオネラ肺炎が、他の細菌性肺炎より重症化しやすい大きな理由は(診断の遅れは別として)KL-6の測定、肺病理の検討などから、私は肺の線維化だと考えております。レジオネラ肺炎では、通常の細菌性肺炎で禁忌であるステロイドで救命される症例報告も増えており、ステロイドの適応基準を提唱すべく研究しています。
 最後に、同窓会活動について述べたいと思います。私は平成12年から4年間、役者不足は承知の上で同窓会長を勤めさせて頂きました。私は会長推挙の話を頂くまでは、評議員でもなく、同窓会には関心は寄せていたものの、お決まりの多忙を理由に同窓会総会へも参加したことのない一会員として過ごしておりました。しかしながら歴代の会長や後輩の役員から一期生として母校への想いを具体的な行動として示してほしいと「お叱り」を受け、恥ずかしながら卒後10年目にして総会に初めて参加しました。そこで私と同じように多忙を極める会員や、また開業医や勤務医としてすでに在野で活躍する会員が、寸暇を惜しんで「母校への愛着」のみを支えとして同窓会活動を行っている姿を目の当たりにしてからは、迷うことなく会長をお引き受けさせて頂きました。ある意味では、母校を離れ全国で活躍する他の多くの一期生の代表としての気持ちからだったと思います。現在の同窓会は私の在任中よりも、多方面に亘り活発な活動を行っておりますが、宿命的ともいえる慢性的な収支の悪化がもたらす現役員の苦労を肌で感じております。つきましては会員の皆様にも、同窓会活動の趣旨を充分に御理解頂きこれまでにも増して御支援の程宜しくお願い申し上げまして私のご挨拶とさせて頂きます。