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Vol.14 - 2
2006/12/15発行

 琉球大学医学部皮膚科学教室の過去そして今後 

               器官病態医科学講座 皮膚科学分野  教授 上里 博

 平成18年4月1日付けをもって、野中薫雄教授の後任として皮膚科学教室を担当させていただいております。
 琉球大学医学部医学科は昭和62年(1987年)3月に第1期生を送りだして以来、今年でちょうど20年目を迎え、琉球大学医学部卒業生が全国あるいは海外で活躍していることは周知の事実である。一方、琉球大学皮膚科学教室の歴史を見てみると、初代は故名嘉真武男教授が昭和56年(1981年)から平成3年(1991年)の約10年間、第2代目は野中薫雄教授が平成4年(1992年4月)から平成18年3月(2006 年)の約14年間に伝統ある皮膚科学教室を築きあげられた。小生は幸運にも両教授から臨床的知識や技術、そして研究についてご教授いただいた。簡単に両教授のライフワークをみてみると、故名嘉真前教授は、真菌症、ハンセン病そして沖縄県でよく遭遇する海洋危険生物などについて研究された。野中前教授は光生物学、特にポルフィリン症がご専門であった。その他に熱帯医学(皮膚感染症:リーシュマニア症)にも造詣が深く、1980年代から南米(エクアドル)のフィールドワークを行ってこられた。小生は両教授のライフワークをさらに継続することを願い、現在リーシュマニア症、海洋危険生物の皮膚障害、そして真菌症についての研究に着手しつつある。特にリーシュマニア症患者についての研究は、南米のエクアドルやペルーに赴き実際の患者の診察や治療に当たっている。さらに実験室で培養リーシュマニア原虫とマクロファージとの関係に着目し、原虫がマクロファージ内でどのようにサバイバルするかに興味を持っている。もちろん皮膚悪性腫瘍や膠原病、皮膚科特有の疾患群(湿疹群、尋常性乾癬や水疱症など)についても教室員の総力をあげて取り組んでいることは言うまでもない。これら皮膚科学教室の診療、教育および研究は、琉球大学医学部卒業の先生方や琉球大学医学部に馳せ参じた先生方が中心になって行なわれている。琉球大学皮膚科学教室のもうひとつの特徴は、少ないスタッフにも関わらず本島北部、与論島、久米島、宮古島、石垣島などの離島診療を支援していることにある。琉球大学医学部の卒業生のなかにも離島診療に従事されている先生がおられると思いますが、心から敬意を表したい。
 琉球大学皮膚科学教室では日本皮膚科学会から皮膚科医としての認定を取得することを第一ステップとしている。皮膚科専門医の資格は日本皮膚科学会正会員として日本皮膚科学会に5年間所属し、その間に講習受講、学会発表、論文発表などある一定の資格を有した後に皮膚科専門医試験を受け、それをパスすることが条件である。琉球大学皮膚科学教室では5年間皮膚科医として診療に従事したと同時に皮膚科専門医認定医になり皮膚科指導医として自立できることを目標にしている。そうすれば、沖縄県民の皮膚の健康を保つことが可能になるはずである。そのためには、琉球大学医学部卒業生のご支援なくしては困難であり、どうか皮膚科学教室にご協力を賜りたい。今後ともよろしくお願い申し上げます。