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Vol.14 - 2
2006/12/15発行

増田昌人  琉球大学細菌学教室を主宰するにあたり 

        感染分子生物学講座 病原因子解析学分野  教授 鈴木 敏彦
  琉球大学医学科同窓会の皆様、はじめまして。平成18年6月1日付けで、岩永正明教授の後任として、琉球大学大学院医学研究科病原因子解析学分野(旧細菌学)に赴任いたしました鈴木敏彦と申します。当教室の教室主任としては2人目となります。これまでに琉球大学とは直接関係はございませんでしたが、以前より沖縄の海が好きでよく訪れていた地でもあったためか生活にもほどなく慣れ、本学で教育・研究に取り組めることを大きな喜びとしております。しかしながら、当教室では若い方から数えると私が二番目になってしまいそういう意味では若手の新入りでございます。
 これまでの古典的な細菌学では細菌の病原性のみを対象としてきました。一方、免疫学では宿主側の応答を対象とし、精製リガンドを用いたり病原細菌といってもリステリアやサルモネラといったモデル細菌を用いて解析してきました。しかし、個々の病原細菌が固有の病原因子を産生しそれがどのように作用し、宿主がどのように応答することによって病態形成が進むのか理解するには、分子レベルでの解析システムを用いて個々の細菌の感染論を深めていくしかありません。いわゆる細菌の感染戦略と宿主免疫機構の両側面を分子レベルで解明して行く感染論が今度ますます必要となると思います。この研究方針を14年ほど在籍しておりました東京大学医科学研究所時代に身につけました。そのような研究によって得られた知見が新規のワクチン、抗菌剤といった新たな感染症制圧法の開発の技術基盤になるのではないかと思います。教育面においても、臨床で出会う細菌感染症に対する基本的知識の習得はもちろんのこと、なぜこの細菌がこのような病態を呈するのか(もちろん未だわかってないことの方が多いのですが)イメージして治療に臨める姿勢を獲得していくことを目標としたいと考えております。そのような中で将来に細菌感染症を分子の言葉で語る基礎医学者を目指す方が少しでもいらっしゃるようになれば幸いです。現在、これまで当教室で培われてきた伝統と膨大な量の臨床・環境分離株を眺めながら今後の具体的方針を模索している毎日です。
 まだ動き出したばかりの教室ではありますが、本学および国内外で活発に研究している先生方と密に交流し、この沖縄の地から世界へ新知見を発信できる教室を創っていきたいと考えております。今後ともご指導・ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。