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Vol.14 - 2
2006/12/15発行

 21世紀の「出島」の役割 
 
長崎大学国際連携研究戦略本部 長崎大学熱帯医学研究所(兼)教授 山城 哲
 

  琉球大学医学科同窓会会員の皆様、平成17年12月に「新興再興感染症臨床疫学研究拠点・ベトナムにおける長崎大学感染症研究プロジェクト」の特任教授を拝命することとなりました山城 哲(やましろ てつ)と申します。よろしくお願い申し上げます。生まれも育ちも沖縄県で琉球大学医学部を第二期で卒業しました。卒業と同時に同医学部第一内科学教室(斎藤厚教授主催)大学院で勉強する機会を得ました。その後岩永正明教授(同大学細菌学教室)から腸管病原細菌学の手ほどきを受けました。98年から2年間米国NIHでChin-Juh Lai部長の指導のもと、デング感染症ワクチン開発およびヒト型抗体作成に関する勉強を致しました。JICA専門家として合計2年間、ドミニカ共和国やラオスにおいて疫学調査活動を行なう機会がありました。現在従事しておりますのはコンビナトリアルバイオロジーの手法を用いたヒト有用抗体作成に関する研究です。様々な新興・再興感染症に治療または予防効果のあるヒトモノクローナル抗体を選別分離し、その抗体分子および遺伝子配列を多く揃え、それを登録するという「ヒト有用抗体バンク構想」を推進していきたいと思っております。
長崎大学は、熱帯医学研究所を中心としたベトナム国立衛生疫学研究所(NIHE)との着実な共同研究の実績が高い評価をうけ、「新興再興感染症臨床疫学研究拠点・ベトナムにおける長崎大学感染症研究プロジェクト」の主管大学のひとつに選定されました。本プロジェクトにおける私の使命は、私の特徴を活かした研究活動をベトナム・ハノイという感染症症例が豊富な場所で行なう事です。それに加え、同プロジェクトの中でカウンターパートのベトナム国立衛生疫学研究所(NIHE)内に研究所(NIHE-NU friendship Laboratory、通称フレラボ)を設立いたしましたが、その管理・運営をさせて頂く事も大切な任務の一つとなります。同プロジェクトの最終的な目標は、感染症領域で世界に伍していける大学の創設だと理解しておりますので、ことさら身が引き締まる思いがいたします。私が念頭に置くのは感染症症例が豊富な場所における「魅力的なラボ作り」という事です。「魅力的」とは、設備が充実し、ベトナム人日本人を問わず若い研究者の活気がみなぎり、人が集まりやすいラボであると思っております。そのようなラボにこそ情報や検体や業績が集中するのだと思っております。「熱帯医学」というと、特別な方が強い意志をもって為す領域という通念が通っていた時代がありますが、私は普通の研究者が普通の感覚で熱帯地で入手した検体を扱う時代がもう来ていると思っております。21世紀の「出島」として、フレラボから感染症に関わる重要な情報を社会に発信して行くという目標が私にはあります。その為には1)長崎大学主導の研究推進、2)適切なコラボレーションの推進が大切だと思っております。私の母校である琉球大学からも多くの共同研究が結実されればと願っております。