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Vol.11 - 1
2003/07/11発行

小椋力  医学教育から福祉教育分野に移っての雑感 

       沖縄大学人文学部 教 授 小椋 力 (前精神神経科学講座教授)

 琉球大学医学部精神神経科学講座は、昭和60年4月に開講いたしました。初代教授として赴任し、本年3月末で停年となり退官いたしました。18年が経過したことになり、この間、医学科第1期から本年3月に卒業した第17期までの皆さんと一緒に勉強したことになります。
 沖縄大学人文学部福祉文化学科は、社会福祉士などを養成してきましたが、新たに精神保健福祉士の養成をも目指すことになり、精神医学、精神保健学などの科目を主として担当する教官として本年4月に赴任いたしました。約2か月が経過し、こちらの業務にもほぼ慣れたところです。
 福祉関係の仕事を目指す当学科の学生が学んでいることを紹介してみますと、一般教養、選択科目を除いて以下の科目などが必修です。福祉文化論((特)、(監))、ボランティア入門((特)、(監))、人間の体と病、病と医療、社会福祉原論、社会福祉援助技術論((特)、(監)、(企))、社会福祉援助技術現場実習指導((特)、(監)、(企))、社会福祉援助技術演習((特)、(監))などあり、さらに精神保健福祉士の国家試験を受験するためには、精神医学、精神保健福祉論など精神科関係の科目の単位が必修となります。老年学、介護概論、臨床心理学などの科目も設置されており、選択が可能です。
 福祉関係の領域は、医学分野ほどではありませんが学問としてかなり体系化されてきており、教科書もあります。教官は福祉〔さいわい、幸福、人が幸福で安定した暮らしができる環境(日本語大辞典)〕について教えることに誇りと自信を持っており、学生も福祉について学び真剣に考えています。福祉が、国民一人びとりの幸福を目指すものであれば、疾病・障害の有無を問わず、幼児期から老年期のすべてのライフステージにおいて福祉は考慮されなければなりません。保健・医療・福祉の連携が今後ますます重要となることを考えますと、医師の卒前・卒後教育に福祉、患者の「幸せ」についてもう少し学習する機会が必要だと痛感しています。
 新型肺炎(SARS)対策に関して、本同窓会の砂川富正会員(第5期生)と照屋勝治会員(第6期生)の2人が国際舞台で活躍していることが週間医学界新聞(医学書院)等で取り上げられました。この件を小生の授業で紹介したところ、一女子学生から次のような感想が届きました。沖縄県出身の医師が活躍しているのはうれしいニュースでした。地元の琉大出身といのも大きいと思いました。どこの大学でも本人がやる気があればどこでも、その力を発揮できる場が与えられるのだと感じました。 琉大を離れましたが、応援団の一員として琉大の発展と会員の皆様の御活躍を願い、心からのエールを送ります。