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Vol.12 - 1
2004/07/09発行

瀧下修一  病院長就任挨拶 

           循環器系総合内科学 教授 瀧下 修一

 琉球大学医学部医学科同窓会員の皆様、ご健勝でご活躍のこととお慶び申し上げます。私は昭和63年4月から平成7年6月まで第三内科に在籍し、その後5年間国立循環器病センターに転出、平成12年8月に戻って参りました。そして、この4月から病院長に就任しています。就任時と気持ちは変わっていませんので、4月1日の就任挨拶から抜粋させて頂き挨拶に代えることに致します。附属病院の置かれている状況をご理解の上、ご指導、ご支援をお願い致します。
 ご存知のように、琉球大学は昨年7月からDPCの導入、本日からの法人化、5月から新臨床研修制度の開始など好むと好まざるに拘わらず、試練に立たされています。
法人化によって、国からの予算内で黒字経営にしなければなりませんが、経営の合理化によって医療の質を落とすことはできません。したがって、合理化の中で医療の質と安全性の向上を目指すことになります。患者さんを中心とした医療を行うことは、当院の理念である「病める人の立場に立った、質の高い医療を提供する」ということから当然のことです。DPCの導入、在院日数の短縮が行われ、それでいて病床稼働率を上げることが課題になっています。すなわち、攻める医療が大学病院に求められています。患者さんは早くほっぽり出されることになりかねません。優しさがある医療を行うためには院内の改善は勿論ですが、退院後のケアができる方策、後方の医療機関との連携などが必要になります。また、入院を増やすためには、紹介患者さんを増やすこと、救急の受け入れなどの問題があります。紹介患者さんあるいは新来の患者さんの診察、診療がスムーズに行えるようにするなど外来システムや内容の改善、紹介していただき易い環境と実績作りが求められます。4月から始まる6年間の中期目標の達成には、今から着実にとりかからねばなりません。また、高度先進医療の開発、提供も大学病院の使命です。
 昨年、病院機能評価をうけましたが、判定は保留となっています。報告書では、改善要望事項や留意事項はもちろんですが、その他の多くの項目について具体的な問題点が指摘されています。琉大病院の現状を知るのに良い資料と思います。しかし、これは断面的な分析です。医療費の削減や合理化で医療の質を落すことなく、よりダイナミックに患者さん中心の医療を行うためには、あらゆる医療現場、医療職、事務方で各人が与えられた責務は何であり、それをどのように果たし、あるいは果たしていく上での問題点は何であるのかを洗い出して頂く必要があります。これは責任者だけの問題ではなく第一線の方達にもお願いしたいと思います。
 経営基盤の確立を図りながら、患者さん中心の医療に向けて一丸となってやっていける病院にしたいと思います。多くの方のご支援を得るというより、皆さん方と一緒にやっていきたいと思いますので何卒宜しくお願い申し上げます。また、各部署、現場の視察も適宜行いますので、その節は宜しくお願い致します。