琉球大学医学科同窓会会員の皆様、こんにちは。いかがお過ごしでしょうか。本年2月、ほぼ9年ぶりに沖縄に戻って参りました。4月からは、アウトレットモール「あしびなー」にほど近く新設されました、豊崎クリニック・沖縄PET画像診断センターに勤務いたしております。以後、よろしくお願いいたします。
さて、当クリニックの特徴は、なんと申しましてもPETに特化した画像診療専門のクリニックであるという点につきると思います。しかし、「PET」という聞き慣れない単語に戸惑われている方も少なからずおられると思いますので、この場を借りて、簡単にご紹介させていただきたいと思います。
- 「PET」は、positron emission tomography の略であり、陽電子断層撮影またはポジトロン断層撮影といわれています。
- 「PET」は、放射性同位元素で標識した薬剤を投与後、体内から放出される放射線を、PETカメラで検出・画像化する、核医学検査の一種です。
- 「PET」が検出する放射線は、陽電子ではなく、陽電子が電子と衝突・消滅して放出されるγ線(消滅放射線)です。
- 「PET」で使われる放射性同位元素は、99mTc(テクネシウム)や201Tl(タリウム)のような、通常の核医学検査で使われるものではなく、11C(炭素)や15O(酸素)、18F(フッ素)といった陽電子放出核種です。
- これらの陽電子放出核種は、体内構成元素あるいはそれらに近い物質であり、より生理的挙動を示しやすい物質を構成できます。これが、PETの最大の強みです。
- 豊崎クリニックでは、放射性フッ素(18F)を標識したブドウ糖のアナログである、18F-フルオロデオキシグルコース(FDG)を用いたPET検査(FDG-PET)を行っています。
- FDG-PETでは、生体における、正常器官あるいは病的組織のブドウ糖代謝を画像化(そして定量化)することができます。
- FDG-PETの臨床応用における三本柱として、「がん診療」・「脳機能画像」・「心筋バイアビリティ評価」があります。
- なかでも「がん」は、正常組織よりも3〜8倍という高い糖代謝を有していますので、FDG-PETでの評価に高い期待が持たれています。
- 「FDG-PETによるがん診療」では、病期診断(遠隔転移の検索)・治療効果判定・再発診断にとりわけ威力を発揮します。
- FDG-PETは、一般にいわれている程、良悪性の鑑別には役立ちません(MRIのたどった推移に似ています)。FDG-PETは、病変の活動性を評価します。
- FDG-PETにおける「がんドック」は、肺癌・大腸癌などを、同時に、苦痛なくスクリーニングする、という観点では有用です。
- 「FDG-PETによる脳機能画像」は、てんかん焦点の検索・アルツハイマー型痴呆の診断に有用です。
- 「FDG-PETによる心筋バイアビリティ評価」は、通常の心筋血流シンチグラフィでは評価が難しい症例で有用です。
以上、かいつまんで羅列いたしましたが、「PET」が今までにない新しい局面を切り開いていることは間違いありません。口幅ったいことを申し上げるようですが、沖縄県民の医療に貢献すべく全力を尽くして参りますので、同窓会の皆様に是非ご利用いただき、県内で唯一の(そして全国でも60程の)貴重な施設を盛り上げて頂ければ幸いです。
(URL
http://www.yuuai.or.jp)
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