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Vol.14 - bP
2006/07/05発行

 救急室から2006 

琉球大学附属病院 卒後臨床研修センター 1年目研修医 当真 孝(20期生)
 
 私は救急部からの研修スタートですが、臨床の場では教科書とは違う世界がひろがっている。患者から話を聞くのも一苦労。救急では「お腹が痛い」や「頭が痛い」などの情報から、いろいろな鑑別疾患を挙げ、除外または、確定診断していかなければならないのだが、いまいちどの診断にも自信がもてないでいる。国試ではもっとも疑わしいものだけ考えてればよかった頃が懐かしく思える。。
 この前は、救急隊からの連絡で「狭心症の既往のある患者が胸痛を訴えています」と連絡があり、緊張度マックスで救急車を待ち構えていた。救急室に現れたのは90歳過ぎのおばーちゃんで、「胸が痛いの?」と聞くと「胸は痛くないよ〜、痛いのは足さ〜」との返事。一緒に来た家族は胸を痛がっていたと言ってはいるがどっちを信用していいのやら。とりあえず狭心症疑いで検査を進めていったが、どうも狭心症の可能性は低くなってきた。やはり痛いのは足なのだろうか?そこで家族の一言「さっき黒っぽい便をしていました」!!。今度は消化管潰瘍か、大腸癌か?早速、rectal。しかし便潜血は陰性、massも触れない。なにかイカ墨やひじきでも食べたのだろう。
 こんな感じで日々、患者からの問診に一苦労している。国試の問題文に詳しくまとめられた問診表をとるのは結構な技術がいるものだ。毎日のように指導医に注意をされている。こんな調子でいつ一人前になれるのだろうか、と不安いっぱいであるが、とりあえずもくもくと仕事をこなすことにがんばっている。
 仕事も大変だが、一人暮らしも大変である。4月から一人暮らしを始めたのだが、炊事、洗濯と時間を見つけ確実にこなさなければ、仕事どころではない。しかし意外だったのが、自分は結構料理好きだったことだ。スーパーに行って安い食材から今晩のメニューを決めるのが何故か楽しい。そのせいで男の一人部屋の台所には珍しく、しょうゆはもちろんのこと、みりん、ローリエ、料理酒、鷹の爪などの調味料がそろっている。自分でも気持ち悪いくらいである。
初めてづくしの研修生活。学生のころとはかなり緊張度が異なる。自分のやることに責任が生じているのでプレッシャーがすごい。しかし指導医の先生、同じ職場の看護師さん、そして研修医仲間、みんなが助けてくれるからこそこの研修医生活を乗り切れる気がする。これからも皆さんよろしくお願いしますm(_ _)m。
 
救急室から2006