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Vol.14 - 2
2006/12/15発行

増田昌人  病理学教室においでください 
 
     病態解析医科学講座 細胞病理学分野  教授 加藤 誠也

 はじめまして。本年6月1日付けで細胞病理学分野に赴任致しました。同窓会総会に出向いて皆様に御挨拶する予定でしたが、当日、東京の学会から戻る飛行機に乗り遅れてしまい、最終便で戻った時には、既に閉会しておりましたので、今回、はじめての御挨拶になるかと思います。そのようなおっちょこちょいな人間なのでだいたいのところは推して知るべしでしょうが、この場をかりて自己紹介致します。私は平成元年、久留米大学医学部を卒業しましたので、この同窓会には、私の2学年先輩の先生からいらっしゃる事になるかと思います。学生時代は軟式庭球部で主将や九山主管校も経験しましたが、当時、琉大は5チーム総当りのリーグ戦に、ぎりぎりの3チームでエントリーしていたにも係わらず、いずれもかなりの猛者揃いで、ひやひやさせられた事を覚えています。卒業後は、同大学で心臓血管病や腎臓高血圧疾患を専門とする第3内科(戸嶋裕徳名誉教授、現在、今泉 勉主任教授)に入局、臨床研修の後、同大第2病理学(森松 稔名誉教授、現在、大島孝一教授)の大学院生となり、当時、講師をされていた笹栗靖之先生(現産業医科大学第2病理教授)の薫陶を受けました。がん遺伝子が次々とクローンニングされ、病理の分野にも形態学だけではなく様々な分子生物学的な手法が導入され始めた時期でしたので、私も教室のテーマである動脈硬化研究に関して、血管平滑筋の間質分解酵素(マトリックスメタロプロテイナーゼ)分泌制御機構のテーマを貰い、培養や電気泳動、うさぎ小屋の番に明け暮れる毎日を過ごしました。大学院卒業後、ペンシルバニア大学心臓血管病部門(当時、Judith L Swain教授)に留学、黎明期であったアデノウイルスによる遺伝子導入実験に従事しました。帰国後は病理学教室にスタッフが不足していた事もあり、講師、助教授としてお手伝いをする事になり、母教室の循環器科や腎臓内科をはじめ、脳外科、整形外科、耳鼻咽喉科、呼吸器内科など各分野の大学院生の指導を中心に、学内外の研究者と様々な共同研究を手がけて来ました。かつて教室の先輩より病理医はオールマイティでなければならないと叱咤激励されましたが、その域は難しいながらも、各分野のトピックについて若い人達と仕事をし、時には逆に教えられながら、一つひとつ結果をかたちに残していく仕事はけっこう性分に合っていましたし、分野が異なっていても病理学的なアプローチは、十分通用する事を知りました。各科の院生も数年後には立派に、病棟や研究班の指導者として活躍するようになります。そのような一段と成長した彼等と再度、研究や患者さんのために仕事が出来る時、たいへん喜びを感じます。病理の後進を育てる使命がありますので、専門家を目指す方は大歓迎ですが、大学院生などいろいろな立場で一時期、病理に出入りされる皆さんにも、是非、病理学的な見方、考え方を身につけて頂き、それぞれの分野と自身の発展に資して頂きたいと思っています。どうぞ病理学教室においでください。それでは、今後ともご指導、ご鞭撻の程、宜しくお願い申し上げます。また、私も同窓会の発展を心より応援しております。